当サイトはWeb広告を導入しています

サッカーワールドカップに見る日本e-Sportsの展望

e-Sports

FIFAロシアワールドッカップで日本が大躍進を続けている(これは予選トーナメントのポーランド戦前の記事)。初戦の対コロンビアで大金星をあげ、次戦のセルビア戦で先制点を許されながらも追いついて、引き分けまで持っていった日本代表選手に元気づけられた人も多いだろう。そこで今回はサッカーワールドカップで感じた今後の日本e-SPORTS界の展望について考えた。

体格による不利は確実にある

体格差が競技自体に大きく出るスポーツではなかなか日本人が世界に勝てるチャンスは少ない。今回のワールドカップで考えると、日本人選手は180センチの大柄な選手が多く揃っているものの、セネガルの選手はそれを上回る190センチの選手が大半で、浮き上がったボールの競り合いになると不利といわざるを得なかった。そんな中で引き分けに持っていったのは選手の能力やチームプレイ、監督の戦略によるものが大きかったと言えるだろうが、依然としてその「そびえたつ壁」という問題は日本人を悩ませている。そして他競技を見ると、日本人はバスケットボールやボクシングのヘビー級、陸上競技全般など、身長差が大きく出るスポーツではなかなか勝てていない。

e-SPORTSは日本人でも勝てる

身長や体重が大きく競技に影響しないスポーツと考えると、e-SPORTSほど日本に有利なスポーツはない。なにせ戦うのは画面の中のキャラクターである。そして使うのは自分の目・耳・口・手だけ。もちろん手を動かすのは周辺の筋肉だから、体格による有利不利がないわけではない。ごりごりの筋肉マッチョは手や肩を自由に動かせるから、ガリガリで筋肉があまりない人よりはFPSにおけるAIMは有利だ。でも体格による有利不利は他スポーツに比べてごくわずか。e-SPORTSは日本人の得意な頭を使った連携プレイや細やかな技術が大きく活かせるスポーツであり、世界で頂点に立てる可能性が大いにある分野なのである。現に体格が似ている隣の韓国では既にe-SPORTS分野で一定の成功を収めている。

1億総ゲーマー時代

e-SPORTSは世界各国で大きく盛り上がり、多くの金と人材が動いている。これをものにできれば停滞した経済にも新たな灯が見えるだろう。日本はご存知の通り、ゲーム大国である。子どもは幼い時からプレイステーションなどのコンソールゲーム機を遊び倒し、大人になってもスマートフォンでせっせと課金してゲームで遊ぶ。子どもの頃からゲームに親しんでいるから、抵抗感が全くない。1億総ゲーマー時代なのである。優秀な人材がそこら中にいる日本は、人材の面では非常に恵まれているのである。

軽くてシンプルが至高

求められているのは、サッカーのような分かりやすいゲームだ。どこの誰が見てもどっちが勝っていて、どこがすごいのか分かる。それでいてどんなパソコンでもできるような超軽くて面白いゲームがいい。そしたらサッカーのように貧しい国の子どもたちでも遊びながら夢を見ることができるし、単純に競技人口が多くなる。残念ながら現在流行しているゲームはそれらを満たしていない。しかし、これは実現可能だ。日本は世界に認められるゲームを数多く作ってきた。そんな日本にはそういった軽くてシンプルで、世界が認める面白いゲームを作ることができるのではないかと僕は思っている。日本にはe-SPORTSで頂点に立てるだけの人材も、環境も、金も、技術もあるのだ。

e-Sportsの平等性
e-Sportsは真に平等なスポーツである。そこには性別も肌の色も障害も関係ない。誰にでもプロになるための扉が開かれている。世界はもうオリンピックとパラリンピックの差に悩む必要はないし、男女差別や人種差別を訴えることもなくなる。

山積するe-SPORTS業界の課題

e-SPORTS業界はかなり新しい業界であるがために、課題も多い。一番の問題は金だ。10億とか100億とか大きな賞金がかかった大会で仮に優勝しても、賞金が一向に選手に支払われないのである。支払いが1年後になるとかいうのはザラで、金の問題で解散したプロゲームチームは多い。それは国内でも同じで、先日は日本で最初にフルタイム制を取り入れたあるプロチームの賃金が選手に支払われないということで炎上騒動となった。加えて選手自身のモラルの問題や、厳しい世間の目など、あげたらキリがない。そして一番は後述するチート問題だ。

諸悪の根源であるチート問題

何と言ってもe-SPORTS発展における最大の障害はチートである。僕ら一般人にはサッカー日本代表である乾貴士のような正確無比なシュートはできないし、3大会連続でシュートを決めた本田圭佑のような決定力もない。しかしe-SPORTSではチート使用によって、そこら辺のパソコンを碌に触れないようなおじいちゃんおばあちゃんでもボタン一発でプロゲーマーを倒せてしまうのである。これは当たり前かもしれないが、大問題である。スポーツは興行だ。誰かに見られて、誰かを興奮させて、誰かを感動させることによって金が動く。本来はその道のプロでしか実現できないようなプレイを、チートは可能にしてしまう。映像だけ見れば、チート使用者の方がよっぽどすごいことをしているように見えてしまうのである。チートが蔓延る現在のe-SPORTS界はプロゲーマーの価値が不当に下げられていると言えるだろう。

チートビジネスの成立
やっかいなのは、チートという仕事が成立していることである。オンラインゲームを壊滅させるチートは、多くの国でまだ規制されていない。最近になってやっと国内でも逮捕者が出始めたが、依然としてチート業者を取り締まるには至っていない。そしてこの問題は日本に留まらず、世界的な問題となっており、特に顕著なのが中国だ。大人気FPSゲームである"PUBG"では、開発元がチート使用者の99%が中国のプレイヤーだと認めた。チートを求める人がいて、それを作る業者がいる限り、開発元とチート業者とのいたちごっこは終わらない。サッカーをやっているのに、手でボールを運ぶ選手がいたらゲームが崩壊してしまう。これを未だに撲滅できず、今後も頭を抱え続けるのが、e-SPORTS業界の現実なのである。

GK川島の炎上騒動

おまけ。日本代表ゴールキーパーの川島のミスにより、炎上騒動が起こっている。正直言って僕も見ている時はヒヤヒヤした。でも一周回って川島が好きになってきたのは、今まで不祥事→炎上→謝罪という流れを見過ぎてきたからかもしれない。知らないうちに、本田圭佑や週刊ご意見番の張本勲のような、ネットでの炎上をものともしない、強靭なメンタルの持ち主を求めていた。彼は数々のセーブミスについて記者会見して謝ることはない。でもそれでいい。それがいい。Wikipediaをセネガル代表にされても、サッカー日本代表なのにプロボクサーと呼ばれても、ポジションがゴールライン下と揶揄されても、それでも胸を張って帰ってくる日本の守護神GK川島を、僕は見たいのである。

Posted by てんせんか