高級感マックス!Xtrfy H1 プロゲーミングヘッドセットのレビュー
今回は「Xtrfy H1 プロゲーミングヘッドセット」のレビューだ。
Xtrfyとは?
スウェーデンに本社があるゲーミングデバイス専用メーカー。2000年に設立されて、CSGOの有名チームであるNinjas in Pyjamas(NiP)と共同開発しており、社員はゲーミングハウス内に同居している。マウス、マウスパッド、キーボード、ヘッドセットなど幅広く手掛けている。CSGOのNiPと言えばf0rest選手やGeT_RiGhT選手などカウンターストライクシリーズの伝説的プレイヤーが2019年現在でも活躍する世界トッププロ。チーム名にNinjaという名前が入っているから、僕も大きな大会では配信を見ながら応援していた過去がある。彼らのAIMは超人的なので、その彼らが監修したとあれば期待できるのではないだろうか。今回は企業より製品提供を受けたのでレビューしていくとしよう。
長所
〇2本のマイクから選べる。音漏れしにくいプロと録音しやすいカジュアル。
〇高級感のあるイヤーパッド。クッション性が高くて気持ちいい。付け心地最強クラス。
〇メガネとの相性がいい。長時間の使用もできる。
〇密閉型でマイクが指向性なので、音漏れが少ない。
〇高音寄りのチューニングで定位感がある。FPSで足音がよく聞こえる。
〇比較的軽いので、疲れにくい。
〇PS4・XBOX ONE、スマートフォンなどにも対応している。
〇マイク音質が良く、雑音が伝わりにくいので、自分の声がクリアに聞こえる。
〇サウンドカード付きでUSB接続ができる。直接接続すればマザーボードにも内蔵サウンドカードにも3.5mmプラグで接続可能。
〇60mmの大口径ドライバを搭載し、解像度が高くて高音質。
〇デザインが格好いい。
短所
×価格が高い。
×密閉型で革製なので、開放型で布製に比べて蒸れやすい。
×高音が強く、低音が弱いのであくまでゲーム用。音楽にはあまり向かない。
×サウンドカードのマイク音量が小さい。
×サウンドカードにイヤホンを挿すとホワイトノイズがのることも。低インピーダンスの物。
製品仕様
・ヘッドフォンの種類:密閉型、オーバーイヤー
・オーディオドライバ:ネオジム型ダイナミック直径60mm
・重量:公称350g、実測326g。マイク、ケーブル含まない。
・ヘッドバンド:アルミフレーム
・耳パッド:形状記憶フォームとポリウレタンレザー(低反発)
・周波数応答:5-30,000Hz
・公称インピーダンス:35Ω
・公称音圧感度:97dBSPL @ 1kHz, 15mW
・接続:ヘッドフォン用3.5mm 3極とマイク用3.5mm 3極。変換ケーブルでスマートフォン用の3.5mm 4極に対応。付属の外付けUSBサウンドカードでUSB接続にも対応。
・ケーブル:本体から1.2 mの3.5mm 3極がふたつ、付属の2m延長コード、付属の3.5mm 4極変換ケーブル。
・調整機能:音の大きさ、マイク音量、マイクミュートスイッチあり。
・マイク:周りの音を拾いにくい黒色のPROマイク(単一指向性)、周りの音を拾う灰色のCASUALマイク
・マイク周波数応答:40–20,000 Hz
・付属サウンドカード:USB接続外付けタイプ、出力サンプリングレート最大96kHz/24bit
・コネクタ:金メッキ加工
・保証:1年間(日本国内)
・型番:XG-H1
客観的な音質テストの難しさ
音質を客観的に評価するのは非常に難しい。まずダミーヘッドマイクという人間の頭の形をした業務用のマイクを仕入れなくてはならない。これは人間の耳が入り組んだ複雑な構造になっているからで、ただのマイクでストレートに収音するのと実際に耳で聞くのには差があるからだ。これだけで数十万円する。
さらには無音状態の部屋でテストする必要がある。音というのは非常に繊細なもので、部屋の状態によって聞こえ方が大きく違ってくるのだ。だから無音状態の部屋を作って客観的に評価しなくてはならないのだが、これを作るとなると数百万円かかる。だから今回は僕の主観だけということになるが、ご容赦いただきたい。本当は音楽編集用のソフトを使って費用を抑えながらも、独自の音質調査をするつもりではあったのだが、時間の都合上、今回は省略せざるを得なかった。時間があれば後日、改めてテストしていきたいと思う。
幸いにもゲーム用のヘッドセットというのは低音と高音が大きく強調されるドンシャリ型と、足音が聞こえやすくなるように高音が強調されるシャリシャリ型のふたつが多いので比較的レビューはしやすい。
音質とマイク
H1は高音強調型のシャリシャリ型だ。全体的に高音になっていて、ひとつのひとつの音が軽い。中音も高音寄りだが、比較的透明感はあるので、ボーカルがメインの音楽などではそこまで問題がないように感じた。低音はあまり響いてこないので、ドンドン低音が響いてくるような音楽には向いていない。高音寄りにチューニングされていて、低音が響かない分、音楽向きとは言えないが、ボーカルや中音がメインの一般的なJ-POPをなんとなく聞く分にはそこまで大きな問題はないと感じた。
FPSでの足音について
FPSなどのゲーム用としてはよくできている。やや高音に鳴っている分、足音がよく聞こえるし、敵が背後にいても瞬時に察知できる。この点は一線級で戦うプロゲーマーが監修しただけあってしっかりしていた。
マイク
マイクがこの製品の一番のこだわりと言ってもいいだろう。なんせ通常は一本で済むところを、付属品としてもう一本あるのだ。公式でカジュアルマイクと名付けられた方は、「周りの音を拾うタイプ」、プロマイクの方は「単一指向性で周りの音を拾いにくいタイプ」と説明されている。さらにプロマイクはノイズキャンセリング機能があるとのことだが、実際はどうなのか。Moo0音声録音機を使って実際に聞いてみた。
音質テストをした結果、カジュアルマイクは周りの音を比較的拾うかわりに音が大きく、クリアに聞こえた。プロマイクはやや音が小さくなって、こもった音声になるかわりに、環境音を抑えることができている。こもると言っても十分聞き取りやすいクリアな声なので心配は無用だ。あくまでカジュアルと比較すればである。オフライン大会用に作られただけはあり、しっかりと環境音を抑えていることは評価に値するだろう。パソコンやサウンドカードにつないでみて、マイク音が小さいのであれば、カジュアルマイクを使うといいかもしれない。Discordなどのボイスチャット側のしきい値を上げれば十分使えるからだ。ちなみにマイクのスポンジを外すとプロは黒、カジュアルは灰色になっている。
付け心地や使用感
付け心地は最高クラスと言っても差し支えないほど快適だ。高級感のある柔らかいイヤーパッドがふわっと耳全体を覆ってくれるので気持ちいい。素材はポリウレタン合皮と形状記憶フォームで、7.1chなど余計な機能をつけずにここに予算をつぎ込んだとのこと。メガネを付けていても痛くならない適度な締め付けなので目が悪い人にもおすすめできる。ややゆるめだがホールド感はあるしズレない。頭頂部のクッションもきちんと機能していて、痛くなったりしない。
耐久性
ヘッドバンドはアルミフレームなので剛性も確かで壊れにくい。ぐっと横に広げてもきちんと広がるし、スッと元に戻る。この部分がプラスチックだと落として踏んだりすると簡単に壊れてしまうので、扱いが荒いFPSプレイヤー向けと言えるだろう。ぶん投げても平気だと思うたぶん。
サウンドカード
サウンドカードはマイク音量が小さかった。僕がこのヘッドセットを付けて初めてボイスチャットに入るとフレンドから即座にマイク音が小さいと言われ、自分でも録音して確認したらやっぱり小さかった。僕が普段使っているSONY製のUAB-80という外付けUSBサウンドカードの音量がかなり大きいというのもあるのだが、比較すると半分以下なのでこれは今後の改良点と言えるのではないだろうか。マイク音量を100にしても小さいならマイクブーストを使う他ない。
このサウンドカードのヘッドフォン音質は高音寄りでヘッドセットの特性と非常に似ている。全体的に音が高くなって軽くなる。低音は響かないので音の広がりはあまりない。それがゲームでは足音が聞こえやすくなったりと有利に働くので、まさしくゲーミング外付けサウンドカードと言える。
このサウンドカードは付属とも言えるので、不満があるならパソコンに直接つないだり、内蔵サウンドカードにつないだりとヘッドセット側でいくらでもできるので自分の環境にあわせて調整するといいだろう。
コントローラー
ケーブル上にはマイクミュートボタン、音量ダイヤル、マイクダイヤルが付いている。分かりやすくてデザインもいいので個人的には好き。マイク音量調節ダイヤルが付いているのは珍しいので、ここも長所と言える。
重量
ケーブルを含まない本体だけの重量は実測326gだった。ゲーミングヘッドセットとしては比較的軽いクラスだ。付けていて重いとは感じないし、付け心地もいいから長時間のプレイもできる。マイクだけの重量は16gだった。参考までに。
実写画像
最近のサウンドカード付きヘッドセットには珍しく、ヘッドフォン端子とマイク端子が分かれているタイプ。パソコン内蔵サウンドカードや外付けにも接続しやすいのがメリット。外箱が豪華で付属品が多いのは高い証拠だ。
公式画像
総評
総評としてXtrfy H1は付け心地が最高クラスでメガネでも長時間プレイできるハイグレードなゲーミングヘッドセットだ。この肌触りの良さは3万円以上出してもなかなか巡り合えなかったりするので、プロ仕様に耐え得るゲーミングヘッドセットを探している人に一考の価値があると言えるだろう。ただし、価格が高いので手に入れられる人は限られる。人よりもワングレード高いものがほしい社会人に特におすすめだ。