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オーバーウォッチ2をレビュー。爽快感とスピード感は増したが、ストレスは変わらないOW2。

OVERWATCH 2,ゲームレビュー

OW2において主な変更点は5vs5制、スタン系の廃止、電話番号登録、スコアボード導入、無料プレイ化、バトルパス制、新キャラ、新マップ、新ルール、新セキュリティシステムなど。発表されていたPVEは間に合わず、先にPVPだけのスタートとなった。本稿ではPVPのことについてのみ言及する。

OW1の大きな課題点であった長いマッチング時間、硬すぎるシールド、面白くないアサルトルール、多すぎるサブアカウント(スマーフ)、優秀なのに収益化できないスキン、上位帯に居座るチーターなど、ある程度の対策と改善を施した今作。

OW1の初期からずっとDPSとしてプレイしてきた僕の評価は、爽快で面白くなり、気軽に遊べるようになったと感じる。おそらくDPS専、タンク専の人は好感触なのではないだろうか。逆にサポートの人たちは今まで自分たちを守ってきたサンドバックのタンクとDPSが自由に動き回るおかげで、ストレスを感じるようになった。

負の部分を背負ってきたタンクはOW2になるとまるでボスキャラのような硬い存在になり、いきいきとしている。DPSはスタンがなくなったことで、より爽快感あるプレイが可能に。そのシワ寄せを最も受けているのがサポートで、被弾率が大きく上昇した。

サポートも悪い点ばかりではなく、AIMの良いサポートは活躍の機会が増えた。DPSを返り討ちにできるほどのAIMを持つ人は自分が試合をキャリーできるほどの影響力を持てるように。逆に立ち回りに頼ってきたAIMがよくないサポートは淘汰される。

いいところ

サービス開始時点におけるライバルプレイの待ち時間はタンクが4分、ダメージが3分、サポートが2分となっている。かなりの改善である。OW1ではタンクが30秒、DPSが10分、サポートが7分といった具合で、ロール間の人口差が顕著だった。マッチに必要な人数がふたり減ったことで、10人集めれば開始できるように。飛躍的にマッチング速度が上昇した。

タンクはあまりシールドを張らないスタイルになった。これによって盾を撃ち合う時間が減少し、試合のスピードが急上昇した。FPSが好きな人たちは誰も盾なんか張りたくないのに、シールドが強すぎるゆえにOW1ではいつも要求されていた。それが改善されたのは素直に喜ばしいことであろう。誰もシールドを張るなんてつまらないことをしたくないのだ。二盾なんてもっての他である。

サブアカウント問題には電話番号認証によって、ある程度の制限をかけた。完璧には防げないが、一定の効果があるのでよし。この問題を解決するのは基本的に無理で、どのゲームでも問題視されている。

無料プレイになったことで、人口が増えやすくなった。これによってどうやって収益化するかがポイントになったが、これはバトルパス制度で解決する。オーバーウォッチほどスキンとキャラが優秀なゲームは珍しいので、この点については問題ないだろう。

悪いところ

一番の問題点は個人のストレスを感じる点が変わっていないこと。役割が決まっている分、できないことも多いので、そのストレスが味方へ直に襲い掛かる。タンクは回復が来ないとイライラ、ダメージはタンクが前線を押さないと何もできなくてイライラ、サポートは被弾率が上がって守ってくれないのでイライラ。チーム格差があるとボコボコにされるので、他のゲームよりも圧倒的にストレスを感じやすいゲームになっている。

このストレスが暴言を呼び、本来は連携が必要なのにチャットオフが推奨され、ボイスチャットには入らない人が大量に発生する。まさに悪循環。ランクでしゃべっているのは確かな実力のある上位層のみ。

連携できれば気持ちいいゲームなのだが、野良ランクマッチではそんなものは皆無に等しく、個人の無力感が罵詈雑言を生む。連携ゲームの面白さよりも、感じるストレスの方が勝っているのがオーバーウォッチというゲームなのである。これが闇と言われる所以だ。

これを解決するにはもう今のFPS+MOBAというシステムを根本から変えるしかない。APEXのようにバトルロワイヤル制にする、VALORANTのように爆破制にする、BATTLEFIELDのように大規模戦闘にするなど、色々な解決策がある。オーバーウォッチはキャラクターが非常に優秀なので、FPS+MOBAにこだわる必要はないように僕は感じる。とにかくひとりでオールキルできるゲームじゃないとこのご時世流行りにくいのだ。

シールドが少なくなったことで、オートエイムなどのチート使用者が幅を利かせるようになるだろう。新しいチート検知システムを導入してはいるが、これはイタチごっこなのでチート使用者が増えたり減ったりするのはしょうがない。理想はVALORANTのようなカーネルレベルでの対策だが、これは今のBLIZZARDにはできなかった。

実はOW1のトップ層ではチートがあまり問題視されていなかった。それは硬いシールドと要求される高い連携力・立ち回り力によってプロのオーバーウォッチリーガーたちはチートに打ち勝つことができたからである。全くの素人がランクで到達できるのはマスターが良いところで、そこから先はきちんと理解しないとなかなか上がれなかった。それでも時が経つにつれて経験者がチートに手を出すことでトップ500に何百人もチーターが入っていた時期もある。しかしそれでもリーガーたちを脅かすほどではなかった。ただ、OW2ではこれが崩れる可能性もある。

キャラクターを完全に変更しなかった点も悪手に思える。全て新しいキャラになっていれば、いかにも「オーバーウォッチ2」らしさが出たはず。新規も既存も何が強いのかわからず手探り状態というのが最も理想だった。これでは新しく入ってきた人たちや復帰してきた人たちは既存プレイヤーに簡単にやられてしまい、面白さが半減する。大規模アップデートと揶揄される点のひとつでもある。キャラ数は少なくてもいいから、全部新しいキャラでよかったのだ。

もしくは新規が覚えやすいようにキャラ数を完全にリセットしてタンク5人、ダメージ10人、サポート10人といった具合に少人数にするべきだった。既存のキャラと新キャラを今後徐々に出していけば、新規プレイヤーは覚えることが少ない。既存プレイヤーに忖度しすぎた結果、悪い方向にいった気がしてならない。プロリーグのOWLを運営しつつこれらの変更を行うのは至難の業なので、大人の事情も多いにあるだろうが、頑張ってほしかった点ではある。プロレベルに調整されたキャラの性能は、一般プレイヤーのOWの面白さを奪っていて、OWLの存在は皮肉にもいい方向に行っていない状態がずっと続いている。

総評

OW1の問題点を多く解決したOW2は、賛否あれども進化とは言えるだろう。ブリザード社は大きな不祥事によって社内がゴタつき、退職者が続出する中でも何とか改善策を打ってきた。それらはきちんと作用し、より爽快感とスピード感のあるゲームになった。

一方でプレイヤー間の摩擦を減らすことはできず、ストレスが多いゲームのままになってしまったことは残念だ。これが残る限り、APEXやVALORANTのようにFPSの覇権を握ることは難しいように思える。しかし、その代わりFPS+MOBAというゲーム性は貴重なので、今後も人口は減れども細々と続いていくことになるだろう。

Posted by てんせんか